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【労務】8月1日施行―台湾「労働者退職金制度」の主な改正ポイント5選

掲載日

2026/07/29

202681日より、台湾労働部による労働者退職金制度に関する関連規定の改正が施行されます。

今回の改正では、退職金制度の基本的な仕組み自体に大きな変更はありませんが、退職金の受給方法、遺族の権利保護、事業主の責任などについて重要な見直しが行われました。特に台湾で事業を展開する日系企業にとっては、人事・労務コンプライアンスの観点からも押さえておくべき内容となっています。
以下、今回の主な改正点をご紹介します。

1.労働者による自主積立申請を事業主は拒否できない

台湾の労働者は、毎月の給与の1%から6%を退職金口座へ自主的に積み立てることが認められており、老後資金の形成に加え、一定の税制上の優遇も受けられます。
今回の改正では、事業主は労働者から自主積立の申請があった場合、法令に従って申告・控除手続きを行う義務を負うことが明確化されました。事務手続きの煩雑さなどを理由に申請を拒否したり、手続きを遅延させたりすることは認められません。

2.月額受給を選択した場合でも30日以内であれば一時金へ変更可能

退職金の受給資格を満たした労働者が月額受給を選択した場合でも、初回の支給日から30日以内であれば、一度に限り一時金受給へ変更することが可能となりました。
これにより、退職後の生活設計や資金計画を見直す機会が確保され、より柔軟な制度運用が期待されています。ただし、最初から一時金受給を選択した場合は、その後月額受給へ変更することはできません。

3.未成年の遺族に対する保護を強化

労働者が死亡した場合、退職金口座の残高は法定相続人等が請求することができます。
今回の改正では、未成年者については権利行使が困難であることを踏まえ、請求権の時効は成年に達した日から進行することが明文化されました。これにより、未成年の子どもなどが年齢を理由として権利を失うことを防ぎ、遺族保護が一層強化されています。

4.退職金口座の保護範囲を拡大

今回の改正では、退職金について譲渡、相殺および差押えが制限される範囲がさらに拡大されました。
これにより、退職金が本来の目的である老後生活の保障として確実に機能し、労働者や遺族の生活基盤をより手厚く保護する制度となっています。

5.会社代表者が交代しても未納退職金の責任は引き継がれる

今回の改正で企業が特に注意すべき点は、会社が労働者退職金を滞納している場合、その後代表者が変更されたとしても、新たな代表者が連帯して支払責任を負うことが明確化された点です。
この改正により、代表者の交代によって退職金支払義務を回避することはできなくなりました。
そのため、企業買収(M&A)、株式譲渡、事業承継などを予定している企業や投資家にとっては、対象会社の退職金納付状況を事前に十分確認することが、法務デューデリジェンス(Legal Due Diligence)の重要な確認事項となります。

おわりに

今回の改正は、労働者の退職後の生活保障を強化するとともに、企業および会社代表者のコンプライアンス責任を一層明確化するものです。特に、人事・労務管理のみならず、M&A、企業買収、組織再編、事業承継などの場面においても、退職金制度への適切な対応は重要な法的リスク管理の一環となります。

謙立国際法律事務所(Justin & Partners)では、台湾における労務コンプライアンス、コーポレートガバナンス、M&Aおよびクロスボーダー取引に関する法務サービスを提供しております。台湾の労働法制や退職金制度についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
 

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